経営者向け情報【5月3日更新】
今月号の目次
【スカウト候補者一覧】販路開拓、取引深耕によって好業績を牽引するスカウト候補者20名
『レイノス』がこれまでお会いしている候補者について、情報共有いたします。
もし、詳細をお聞きになりたい場合、右上の電話マーク、もしくはメールにてお問い合わせくださいませ。
■候補者 金山雅治 氏(仮名)
- 所属企業
- トヨタ系自動車ディーラー
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 主任クラス
- 年齢
- 34歳
- 年収
- 1100万円
●トヨタ車の新車販売に従事し、毎月約13台を販売している。(同社の営業担当者の平均販売台数は月6~7台)。
●営業順位は、全営業担当者900名中、18位(2016年)、22位(2017年)、9位(2018年)。
●2019年からはマネージャーとして、店舗運営も担っている。
■候補者 大石恭也 氏(仮名)
- 所属企業
- 証券会社
(売上高:500億円~) - 部門
- 法人営業部
- 役職
- 係長クラス
- 年齢
- 31歳
- 年収
- 1000万円
●同氏が管掌するチームは、直近の4四半期のうち、3四半期で営業目標を達成している。(目標達成を果たすチームの割合は、全体の40~50%程度)
●富裕層や上場企業の経営者に対して証券や保険商品を販売。
●同期100名中、最速で係長へ昇格。現在は8名のメンバーをマネジメントしながら、プレイングマネージャーとして従事している。
■候補者 堀正孝 氏(仮名)
- 所属企業
- 精密機器メーカー
(売上高:2000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 36歳
- 年収
- 1000万円
●新卒として入社後、一貫して法人営業に従事。入社5年目には年間粗利3億円という実績で全営業担当者200名中1位に輝いた。
●現在はプレイングマネージャーとして、部下30名をマネジメントしながら営業を続けている。
■候補者 高山透 氏(仮名)
- 所属企業
- 飲料メーカー
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 38歳
- 年収
- 1000万円
●ブラジルやメキシコといった、南米で販路開拓を手がけた経験がある。商品の特性上、日本からの輸送が難しかったため、現地生産のための工場設立にも携わった。
●南米で現地の人材を採用して活用。拠点の売上を1年で60%伸長させた。
●同期50名のうち最速で課長に昇進。現在は帰国しており、赤字拠点の立て直しを担っている。
■候補者 竹田行春 氏(仮名)
- 所属企業
- 大手飲料メーカー
(売上高:3000億円~) - 部門
- 海外営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 38歳
- 年収
- 900万円
●入社から7年間は国内営業を担当。営業成績が認められ、同社の主要顧客(大手量販店など)を任される。
●2015年より、海外営業部に配属。中国、東南アジア向けの販売を手がけ、タイ(バンコク)、インドネシア(ジャカルタ)での支店立ち上げを実現させる。
●課長への昇格スピードは同期25名中、最速。
■候補者 斉藤基樹 氏(仮名)
- 所属企業
- 精密機器メーカー
(売上高:2000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 36歳
- 年収
- 900万円
●部下30名をマネジメントしながら、プレイングマネージャーとして従事。
●入社5年目に年間粗利4億円という実績で全営業担当者250名中1位に輝く。
●昇進・昇給スピードは同期150名中トップクラス。
■候補者 大宮連次 氏(仮名)
- 所属企業
- 食品メーカー
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 45歳
- 年収
- 900万円
●主にヨーロッパ向けの販売を手がけ、フランスやイギリスでの支店立ち上げに貢献。各国に合わせた商品パッケージにするためのデザイン変更にも携わった。年間6億円程の予算を担っている。
●入社から2年間は国内での営業活動に従事。商談の際に販促キャンペーンのアイデアなどを披露する企画提案型の営業を行い、年間5000万円~1億円の売上を作っていた。
●課長への昇進スピードは同期30名中で最速。
■候補者 清水誠二 氏(仮名)
- 所属企業
- 飲食チェーン
(売上高:200億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 38歳
- 年収
- 900万円
●全国に約30店舗展開する主要ブランドの責任者を務めている。
●同氏が責任者になった4年前と比較すると、現在の店舗数は1.5倍、部門売上は2倍、部門利益は3倍に拡大している。
●同期最速で課長に昇進。同社の課長の中では最年少。
■候補者 鈴木航一郎 氏(仮名)
- 所属企業
- 繊維商社
(売上高:500億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 35歳
- 年収
- 700万円
●レディースアパレルを中心に、一貫してテキスタイル、及びOEM営業を担う。
●同社に課長は15名在籍しているが、現在最年少課長として東京支店の営業部門20名を統括する。年間予算は約30億円。
●新規事業として、今年から自社ブランドの立ち上げも任されている。
■候補者 大牟田健二 氏(仮名)
- 所属企業
- 旅行代理店
(売上高:3000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 32歳
- 年収
- 800万円
●法人営業に従事。主に団体旅行を取り扱う。同氏の社内記録である年間売上6億円は今なお破られていない。
●大手クライアントを一手に担う。管掌する部下数は50名。
●過去最速の昇格スピード。
■候補者 白木鉄二 氏(仮名)
- 所属企業
- 飲料メーカー
(売上高:5000億円~) - 部門
- 海外営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 41歳
- 年収
- 800万円
●国内の中小企業をメインターゲットとして新規営業に5年間従事。6年目から海外営業部で勤務し、主にインドネシアやタイなど、アジア向けの販売を手がける。各国の法規制に合わせた商品開発などを実施し、現地法人の立ち上げも経験している。
●昇進・昇給スピードは同期30名のうち最速。同氏の管掌する支店は、5年連続で売上が前年比20%以上伸長している。
■候補者 設楽雅紀 氏(仮名)
- 所属企業
- 精密機器メーカー
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 係長クラス
- 年齢
- 31歳
- 年収
- 800万円
●同期80名中、トップで係長に昇格(入社7年目)。
●入社6年目に全国の営業マン200名中、トップの成績を残す(年間粗利3.5億円)。
●現在は、メンバー12名を率い、プレイングマネージャーとして従事。
■候補者 葉加瀬修 氏(仮名)
- 所属企業
- インターネット広告会社
(売上高:200億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 係長クラス
- 年齢
- 30歳
- 年収
- 800万円
●3年連続で全営業担当者100名中上位5位以内に入っている。昨年の年間売上実績は18億円、粗利額は2.5億円。
●入社時から新規営業に従事しており、アフィリエイト広告や動画広告を大手ウェブ会社、コンテンツ制作会社に販売している。
●昇給スピードは同期約30名中最速。
■候補者 伊地知哲志 氏(仮名)
- 所属企業
- 大手外食チェーン
(売上高:1500億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 37歳
- 年収
- 800万円
●関西エリアに展開する約50店舗を統括している。
●同期100名中トップクラスの昇格スピード。
●同氏が着任してから、統括エリアの店舗は売上が前年比150%、利益は前年比200%に伸長している。
■候補者 白井峰子 氏(仮名)
- 所属企業
- 人材派遣
(売上高:3000億円~) - 部門
- 法人営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 34歳
- 年収
- 800万円
●梅田(大阪)近辺の大手顧客を任されており、自身の課の年間予算は約20億円と、課長としてはトップクラス。
●現在30名のメンバーを管掌しており、同氏が就任してから課の業績は30%伸長。
●昇進・昇給スピードは、同期約80名中2位。現在、女性では最年少課長となっている。
■候補者 藤本徹 氏(仮名)
- 所属企業
- 加工食品メーカー
(売上高:3000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 課長クラス
- 年齢
- 42歳
- 年収
- 800万円
●国内の百貨店やスーパーへの新規開拓営業に7年間従事。3年目からは毎年全国の営業マンの上位10%の実績を残していた。
●8年目から海外営業部で勤務。主に北米やカナダなどへの販売を手がける。現地の支店立ち上げも経験。同氏が管掌する支店は3期連続で売上が20%以上伸長している。
●課長への昇格スピードは同期40名のうち最速。
■候補者 松村法嗣 氏(仮名)
- 所属企業
- 旅行代理店
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 係長クラス
- 年齢
- 31歳
- 年収
- 700万円
●営業成績は全社の営業担当者300人中、常に上位5%以内を維持。
●年間で最も優秀な成果を残した社員1名しか表彰されない社長賞を、2年連続で獲得した。
●現在同社で係長を務めている社員の中で最年少。
■候補者 嶋田翔 氏(仮名)
- 所属企業
- 物流業
(売上高:200億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 主任クラス
- 年齢
- 26歳
- 年収
- 600万円
●常温帯の物流をメインで担当し、営業活動に従事。自社の営業マン50名中、3期連続で増収額1位を記録。
●新規開拓、運賃改定の上げ幅、既存顧客の口座拡大などの増収額が基準の評価において、グループ全体の営業マン300名中1位を獲得し、グループ代表から表彰を受ける。
■候補者 松岡郁也 氏(仮名)
- 所属企業
- 携帯小売店
(売上高:1000億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 主任クラス
- 年齢
- 27歳
- 年収
- 600万円
●全国に3000名在籍する販売員のうち、常に上位10%の業績を上げている。
●現在は6名のメンバーをマネジメントしている。
●同期200名中最速の昇進・昇給スピード。
■候補者 長野結佳 氏(仮名)
- 所属企業
- 結婚式場
(売上高:100億円~) - 部門
- 営業部
- 役職
- 主任クラス
- 年齢
- 30歳
- 年収
- 500万円
●同社の全ウェディングプランナー60名中、第4位の契約率を誇る。
●入社3年目から、5年連続で上位10%以内の営業成績を残している。
●現在はプレイングマネージャーとして従事しており、5名の部下のマネジメントも行っている。
【会社名】レイノス株式会社
URL:https://www.raynos.co.jp/
【お問い合わせ(Eメール)】
matsushita@race-backs.co.jp(担当者:松下)
【お問い合わせ(電話)】
080-9866-5321(担当者:松下)
売上を12億円から20億円強に伸ばした立役者。外食企業から移籍した敏腕マネージャーの奮闘劇
大阪府大阪市に本社を構える株式会社ホープカンパニー(仮名)は、関西で約30店舗の飲食チェーンを展開している。1999年の設立以来、業績は好調。中でも直近4年間の成長は際立っており、売上は12億円から20億円強へと1.7倍になった。同社はいかにして飛躍を遂げたのか。その裏には、一人の男の奮闘があった。
クライアント情報
- 事業概要
- 飲食店チェーン
- 売上高
- 20億円~
- 経常利益
- 2000万円~
- 上場市場
- 未上場
- 設立年
- 1990年代
- 従業員数
- 50名~
ホープカンパニーは、社長の長谷川政志(仮名)が20代で始めた「ホルモン焼肉屋」を原点としている。
長谷川が自ら開拓した独自のルートから、新鮮で手頃な価格のホルモンを仕入れることによって他社との差別化を図り、人気を博した。その後、ホルモン以外の焼肉業態も開発し、次々に出店。売上を伸ばしていった。
しかし、ここで問題が発生した。急速な業容の拡大に店長やマネージャーの育成が追いつかず、前年の売上を下回る店舗を出してしまったのである。
「このまま店舗数を増やしても、1店舗あたりの質が落ちて客離れが起こるだろう。ただ、社内でマネージャー層が育つのを悠長に待っている時間はない。早急に外部から即戦力となる人材を探してこなければ……」
このような危機感を抱いていた長谷川にレイノスが紹介したのが、加賀美達也(仮名)であった。
候補者 加賀美氏(仮名)について
- 年齢
- 40代(当時)
- 年収
- 1000万円(当時)
- 住所
- 大阪府大阪市
- 前職
- 大手外食チェーン マネージャー
加賀美は大手外食チェーンにて、20店舗を統括するマネージャーとして活躍していた。
同社の特徴は、調理や接客はもちろん、商品の原材料、器材のメンテナンス、スタッフの育成方法、店舗レイアウトに至るまで、あらゆる部分に及ぶ厳しい評価制度。そのような環境下でも、加賀美の管掌範囲にある店舗は軒並み最高ランク「AAA評価」を獲得していた。
その実績から、加賀美は全社員の中で上位1%に贈られるアワードを受賞。彼の手がけた店舗には社長が視察に来るなど、その名は社内に響き渡っていた。
ただ、一見すると順調なキャリアを歩んでいるように思える加賀美にも、悩みがあった。
「評価していただける店舗を作り上げられたのは、一つの成果だと思っています。しかし、それはあくまで、会社の方針を忠実に守ったからこそ達成できたことでした。心のどこかに、もっと自身の納得の行くような店舗を作りたいとの思いがありました」
そんな加賀美に「是非、ホープカンパニーに力をお貸しください」と移籍を打診した長谷川。この言葉に、加賀美は大きく頷いたのだった。
たった1年で管掌事業の売上を2億円伸ばす
こうして加賀美は、肉バル事業のマネージャーとしてホープカンパニーに入社。店舗での勤務を通して、その問題点を洗い出していった。
彼が心がけたのは、何よりもまず現場の信頼を勝ち取ることだった。店舗を見渡せば、勤怠管理、マニュアル整備、衛生管理など問題が山積していたが、従業員に対していきなり改革を求めることはしなかった。
既存の社員に教えを乞いながら、1ヶ月間は現行のやり方で店舗を切り盛りした加賀美。現場を回せるようになり、周囲からの評価が高まってきた段階で、初めて改善点を指摘した。
加賀美が特に推し進めたのは、マニュアルの整備による店舗業務の効率化だ。ものの置き場一つ定まっていなかった状態を改め、現場で使う用語も統一。これによって従業員の動作や意思疎通が円滑になり、1日あたりの回転数は1.3倍に増えた。
こうして生産性が向上し、1店舗あたりで受け入れられる顧客数が増加したことにより、肉バル事業の売上はたった1年で前年比1.5倍の5億円に伸びた。その後も、本事業は現在に至るまで成長を続けている。
赤字子会社を再建。1.5億円の売上を8億円に
肉バル事業の改革を成し遂げた加賀美に対し、次に課されたミッションは、ホープカンパニーが買収した食品メーカー、笹野食品(仮名)の再建であった。
長谷川は、笹野食品を「セントラルキッチン」に据え、自社店舗に商品を供給する拠点とすることで相乗効果が見込めると考えていた。ただ、笹野食品は良質な設備こそ持っていたものの、売上は1.5億円程度で、毎年3000万円の赤字を出しており、債務超過の状態にあったのだ。
加賀美が工場を視察すると、マネージャーの姿はなく、品質、衛生、在庫などの管理の杜撰さが目立った。
この有様に、原材料の仕入れから商品開発の手順まで、あらゆる工程を見直そうとした加賀美。しかし、ここで思わぬ壁が立ちはだかった。親会社から乗り込んだ彼に対して、従業員たちから反発の声が上がったのだ。
もちろん加賀美は自身の考えを押し付けたりはせず、会社の業績を良くするための道筋を丁寧に説いたのだが、従業員たちの態度は頑なであった。取り付く島もない相手をどのように説得すればよいか分からず、さすがの加賀美も頭を抱えた。
並の人物であれば、ここで音を上げてしまうところだが、加賀美は違った。一度話して通じなければ二度、それでもダメならば三度と、従業員一人ひとりに自身の目指す方向性を語っていったのだ。その過程で、従業員たちが仕事を通じて成し遂げたいことも聞き、その達成と企業の改革が十分に両立することを示した。
結果、これまでの手法を大きく変えたにも関わらず、既存の社員やパートの中から1人の退職者も出ることはなかった。在庫など数値で管理できる指標は全て可視化し、無駄を省いたことにより、笹野食品の売上は3年で8億円にまで拡大。安定して利益を出せる企業に変貌したのである。
「店舗数が増える中、安定した商品の供給を実現するとともに、安全管理の精度も高めていきます」と加賀美。現時点で笹野食品は「ホープカンパニーのセントラルキッチン」の域を出ないが、「笹野食品はまだまだ売上を伸ばせる。これからは積極的に販路を開拓し、他社にも商品を売り込んでいきます」と攻めの姿勢を崩さない。
長谷川はこれまで、飲食業界で仕事を続けたいと望みながらも、体力的な理由から店舗での業務を断念し、他業界へと移っていく社員を何十人と見てきた。
「グループ内に店舗運営だけでなく、食品加工、営業、コンサルティングといった多様な職種があれば、自身のキャリアプランに応じて部署を変えながら、飲食業界での仕事を続けていける。そんな環境を作るのが私の夢です。飲食店経営に留まらない『食のトータルカンパニー』を目指したい」
そんな長谷川の夢を実現するため、加賀美は改革の手を緩めない。これからも長谷川と加賀美は、二人三脚で理想の企業を作り上げていく。
<終>
【会社名】レイノス株式会社
URL:https://www.raynos.co.jp/
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080-9866-5321(担当者:松下)
3000商品の売れ行きをデータで把握!個人商店を“コンビニ”へと生まれ変わらせた、セブン-イレブン・鈴木敏文氏
いまや日本人の生活に欠かせない存在となったコンビニエンスストア。食品や雑貨の販売にとどまらず、銀行や配送拠点の役割も担っている。中でも国内首位を堅持するのが、全国に2万1000店以上を展開し、約5兆円を売り上げるセブン-イレブンだ。
これを立ち上げ、業界ナンバーワンへと導いた鈴木敏文氏について、今回は紹介したい。フランチャイズ方式の店舗展開、データを活用した仕入れ改革、徹底した品質へのこだわりなどを通じ、コンビニ業界を牽引した鈴木氏からは、問題を解決へと導く実行力を学ぶことができるだろう。
コンビニ業態に個人商店の未来を見る
鈴木氏は1963年、スーパーマーケットを展開するイトーヨーカ堂に中途入社し、流通・小売業の世界へと足を踏み入れた。当時の日本は、高度経済成長期の真っ只中。差別化された販売戦略など練らずとも、大々的にチラシで宣伝すれば、モノが売れた時代であった。
一方、大手資本の大型店に顧客を奪われ、個人商店は苦境に陥っていた。大型店の進出への反対運動が各所で頻発し、鈴木氏もイトーヨーカ堂の社員として、その矢面に立った。
イトーヨーカ堂の出店計画に対し、頑なに反対する個人商店の主人たちを説得するため、両者共存の策を思案した鈴木氏。周囲からは「もはや個人商店に未来はない。何をしても無駄だ」という声も聞こえてきたが、「立地が限定される大型店だけでは、顧客のニーズを全て満たせるとは思えない。
課題である生産性の低さを改善すれば、個人商店も十分に大型店と共存できるのではないか」と考えた。
そして同氏は、ヒントを得るため視察に訪れた米国にて、小型店ながら効率的な経営をするコンビニエンスストア「セブン-イレブン」の存在を知ったのである。日本の個人商店の未来が、そこにはあった。
コンビニ事業進出に際して鈴木氏が見せた覚悟
個人商店との共存共栄を目指し、自社によるコンビニ事業の展開を提言した鈴木氏。しかし、イトーヨーカ堂の社内では、コンビニ事業の将来性について懐疑的に見る向きが多かった。また、当時の同社は主力スーパー「イトーヨーカドー」の出店スピードを上げている最中であり、他事業への投資は二の次とされた。
そこで鈴木氏は、イトーヨーカ堂のオーナーである伊藤雅俊氏に対して「もし事業が失敗したときには、私が保有している自社株で穴埋めします」と直訴。その覚悟に、伊藤氏もコンビニ事業への進出を了承した。
こうして鈴木氏は、米国で「セブン-イレブン」を運営するサウスランド社とライセンス契約を締結し、日本での展開を開始したのである。
商品発注の主導権を店舗側にわたす
鈴木氏は、米国における店舗の運営方法をそのまま日本に導入することはしなかった。
米国のセブン-イレブンでは、「本部が商品開発をして各店舗に配送し、店側は言われるままにそれを販売する」という体制が取られていた。しかし、その手法は「これまでオーナーが自由に切り盛りしてきた個人商店のコンビニ化」という鈴木氏の理想像にそぐわない。
個人商店のオーナーが納得するフランチャイズ契約を考えた鈴木氏は、「商品開発は本部が担うものの、売りたい商品は店舗側が決め、それを本部に対して発注する」という仕組みを発案。1974年、東京・豊洲に第1号店が誕生したのを皮切りに、酒屋をはじめとする個人商店が、次々とセブン-イレブンに変わっていった。
経験と勘が頼りだった仕入れをデータ集計によって改革
店舗を拡大する上で鈴木氏が改善を図ったのは、「仕入れ」であった。従来、仕入れる商品の種類や量は、店舗のオーナーが自身の経験と勘に基づいて決定していたが、同氏はこれに異を唱えたのである。
「コンビニにある約3000商品の売れ行きを全てデータで把握できれば、効率的に発注して売上を最大化できるはずだ」(鈴木氏)
ただ、口で言うのは容易いが、実行するのは難しい。当初、鈴木氏は店側と電話したり、店舗までバイクを走らせて伝票を集めたりすることで販売データを集計したが、店舗数が増え、商品の発注数が膨大になると、こうしたアナログな方法は通用しなくなった。
そこで、セブン-イレブンが他社に先駆けて導入したのが、バーコードで商品情報を読み取って会計を行うPOSシステムである。感覚ではなく、目に見える数値によって売れ筋を見つけたい同社にとって、このシステムは強力な武器となった。
鈴木氏はPOSシステムから得たデータを活用し、店舗の売上や各商品の販売数のみならず、各店舗が抱えている在庫の量を可視化。徹底したスリム化を行うことで、コスト削減にもつなげた。
販売中の商品でも撤去させるほど、味にこだわる
こうした戦略と並行して、鈴木氏が常に力を注いでいたのが、商品力の追求である。同氏は会社で昼食をとる際、特別な理由がない限りは自社の商品を試食。休日でも、セブン-イレブンで商品を買い、その品質を確かめた。
ある時、セブン-イレブンで購入したチャーハンを食べた鈴木氏は、「炒めたご飯のパラパラとした食感が再現されていないじゃないか!」と激怒。既に店頭で販売中だった商品を、全て撤去させた。
そして、「美味しく作れるまで、チャーハンは絶対に販売するな!」と指示すると、プロの調理方法を研究し、「パラパラ感」を出すことのできる新しい釡を、1年以上かけて開発した。
「以前と比べて少しでも美味しいものを提供しなければ、顧客は飽きてしまう」というのが鈴木氏の持論。おにぎり、サンドイッチ、弁当類など、全ての商品に対して、同氏は質の向上を求め続けたのである。
常に事業の改善点を見出し、新しい取り組みに挑むことで解決してきた鈴木氏。その実行力が、セブン-イレブン、ひいては現在のコンビニ業界を築き上げたといっても過言ではないだろう。
【経営者必見】5000名以上を発掘してきた採用のプロが説く……入社後に活躍する人材を見抜く技術!
企業にとって大きな課題となっているのが人手不足です。「採用した人材が期待と違っていた」「すぐに辞めてしまった」という悩みがある企業は少なくありません。
数多くの経営人材を見極めてきた採用の専門家は、どのような対策をとっているのでしょうか?
「志望動機」「自身の強み」は非効率な質問
「人を見る目はセンスではなく、トレーニングで習得できるもの」。そう語るのは、世界最高峰のヘッドハンティング会社で、一流企業をはじめ5000名以上の経営人材の見極めを行ってきたキャリアを持つ「グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社」ディレクターの小野壮彦氏です。
まず小野氏は、面接の場で「志望動機」「自身の強み」を聞くのは非効率だと言います。面接という限られた時間で、相手の本質を理解し見抜くのはとても難しいこと。その上でさらに無益な質問をするのはもったいないと断じます。
「これらは事前準備がモノを言うタイプの質問です。このような質問ばかりだと、事前のリサーチや準備を綿密に行い、 “当日よい答弁を行った人”が高評価となるだけです」。
事前準備の度合いに左右されるため、実際に組織で高いパフォーマンスを発揮できるかどうかを、これらの質問で見抜くことはできないと指摘します。
では、何を質問するべきか。重要なのは、具体的な経験を聞くことです。例えば「今までどんな会社で働いてきたのか、どんな環境で成果を出してきたのか」といった質問をしましょう。それらへの回答をもとに自社のカルチャーと照らし合わせ、フィットしそうかどうかを見ていく作業が大切です。
言い換えれば、小野氏が面接で重要視するのは、「こう思っています」という“意見”ではなく「こういうことをしてきました」という“事実”を引き出すことだといえます。
また、相手の本質を見抜くためには「リラックスして話ができる場」を作ることも重要だと語ります。
候補者をリラックスさせる最大の方法は「自分自身がリラックスする」こと。小野氏は最初に「今日はお時間をいただき、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることから始めるそうです。
また、面接の時は候補者の真正面に座らず、椅子を斜めにずらすのも1つのテクニックです。自分自身の緊張が緩和されるだけではなく、相手の気持ちも和らげることができます。
自社の魅力ばかりを語らない
自社を好きになってもらおうと、給与や、職場の環境のよさ、福利厚生の充実などのアピールに固執すると、採用を辞退されるリスクが高まります。
好きな人に対して「自分と付き合うとこれだけいいことがある」といくらアピールしてもうまくいかないのと同様に、一方的なアピールで相手の心を動かすことはできません。
恋愛では「どんな映画が好きなの?」「休日は何をしているの?」など会話を重ね、仲を深めていきます。同様に、「候補者を惹きつけるには、『私のことを知ってほしい』ではなく、『あなたのことを知りたい』とアピールすることこそ大切である」と小野氏はアドバイスします。
さらに「経験・知識・スキル」を見極めるだけではミスマッチになる可能性が大きくなる、という指摘も重要です。
小野氏によると、人物は4つの階層で成り立ちます――地上1階は「経験・知識・スキル」、地下1階は「コンピテンシー」、地下2階は「ポテンシャル」、地下3階は「ソース・オブ・エナジー」。人には多くの要素が隠れているにもかかわらず、見えやすい地上部分しか見ていないと、ミスマッチの可能性が高くなります。
人材を見極めるためには地上部分にとどまらず、地下の見えにくい部分、せめて地下1階のコンピテンシーは見られるようにしていくことが大切だといいます。
「コンピテンシー」とは、どんなシチュエーションでどんなアクションをとりがちかという「固有の行動パターン」のこと。コンピテンシーを理解すれば「将来の行動パターン」も予測できます。
さらに下の段階の「ポテンシャル(物事を実現させる潜在能力)」と、「ソース・オブ・エナジー(困難な目標に向かい、逆境から立ち直る力)」まで見通すことができれば、候補者の理解はより深まります。
とりわけ中小企業で重視すべきは「達成志向」であると小野氏は強調。中小企業はリソース不足に陥りがちであることから、目標を達成することに強い意思を持って自律的に動ける人を集めたほうが、少人数でも強い組織になるためです。
人こそが企業の要、採用は会社の未来を左右する重要な課題です。小野氏の指摘する具体的な課題と解決策は、すぐに活用できるものばかりなので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
なお、当グループの株式会社ロンザンでは、人材不足に悩む中小企業と、上場企業の役員や部長を経験した一級のビジネスマンをお引き合わせする経営課題解決プロジェクトを展開しています。
稀有な実力を持つビジネスパーソンを招聘することで、業績面はもちろん経営哲学や人格修養の面でも相乗効果を得ることができる経営の選択肢として支持を受けておりますので、ぜひ積極的にご活用ください。
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URL:https://ronzan.co.jp/
【お問い合わせ(Eメール)】
matsushita@race-backs.co.jp(担当者:松下)
【お問い合わせ(電話)】
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年間休日18日増の改革で生産性が向上した金型メーカー……コロナ禍で低下した売上3割を取り戻し16億円規模に成長!
あえて休日を増やすことで、労働生産性を大きく向上させた中小企業があります。一見、施策と結果が相反するように思えますが、なぜそのような成果を得ることができたのでしょうか。
コロナ危機で取り入れた「6稼4勤」の働き方
社員1人あたりの年間休日を18日も増やしながら、逆に生産性を大きく向上させたのは「株式会社フジイ金型」(愛知県丹羽郡)です。自動車向けのダイカスト金型などの製造を手がけ、業界では上位に位置するメーカーです。
現在、社長を務める藤井寛達氏は、旭化成で12年勤務したあと、2009年、リーマンショックで業績が落ち込んでいた父の会社を支えるため同社に入社。2012年には代表取締役社長に就任しました。
2016年には、低迷していた業績をリーマンショック前の水準までに戻すことに成功。その後も積極的な設備投資や中国への進出などにより、就任時と比べて売上は約2倍、経常利益も3倍以上に伸ばしました。
ただ、業績を伸ばす一方で、「同社のあり方について課題も感じていた」といいます。トップダウンに染まった企業文化、縄張り意識の強い社風、指示待ち意識といった官僚主義。その3つを大きな課題として捉えており、時代の変化についていけていないのではないかという懸念を抱いていたそうです。
そうした課題の解決に向けて取り組んだのは、経営改革に有効とされる「マッキンゼーの7Sフレームワーク」を用いた分析でした。
7Sとは、戦略(Strategy)、システム・制度(System)、組織構造(Structure)の3つのハード面と、人材・スタッフ(Staff)、スキル・能力(Skills)、経営スタイル(Style)の3つのソフト面、さらに上位目標としての共通価値観(Shared Value)という、ハードとソフトの両面から組織の課題を分析する考え方です。
これらに沿って課題を洗い出し、組織改革に乗り出したときに発生したのが新型コロナウイルスの感染拡大でした。
2020年当初は、社員を一時休業させなければならない状況に陥りました。しかし、リーマンショックの苦い経験が社長の藤井氏の脳裏をよぎります。
当時も週末3連休にしましたが、危機が去ったあとも生産性が簡単に回復せず、納期遅延などが発生。受注を断らざるを得ない状態がつづいたのです。「今回も繰り返すわけにはいかない」。そこで導入を決めたのが「6稼4勤」の働き方です。
会社が稼働する月曜日から土曜日までの6日間のうち、各社員は4日間または5日間出勤します。出勤日はシフト制にして、全社の人員バランスを維持。社員は平日に休めるので、その時間を勉強にあてたり、子どもの世話や親の介護をしたりすることが可能です。
この仕組みにしてから、社員1人あたりの年間休日数は119日から137日へと18日増加。一方で給与は維持し、時間単位報酬はアップした計算になります。
休日増を生産性向上につなげた8つの取り組み
さらに改革を進めるため、藤井社長は「コッターによる、変革の8つのステップ」を用いました。これは、リーダーが組織の変革を成功させるための指標で、以下の8段階のプロセスが定められています。
①危機意識を高める、②変革推進チームをつくる、③適切なビジョンをつくる、④変革のビジョンを周知徹底する、⑤従業員の自発的な行動を促す、⑥短期的な成果を生む、⑦さらに変革を進める、⑧変革を企業文化として根づかせる。
これに従い、具体的な改革を行いました。
たとえば、コロナによる業績低迷も正直に発表し、社員にも緊急メッセージを配布。一時帰休制度の意図について共有しました。
さらに営業トップの専務と話し合い、方向性を合わせてチーム作りを実践。新しい働き方に関する新制度の効果や詳細な運用方法、将来の布石についての説明をまとめた資料を全社に開示し、計画を明確化。各部門ごとに詳細を説明し、社員から不安の声を集めて解消することにも努めました。
一時帰休制度は2020年5月からスタートし、1年間はテスト期間として社員には新しいことに挑戦してもらう空気をつくり、自発的な行動を推奨しました。
1年後の結果については具体的な数字を示して社員に報告。休みが増えても業績は落ちないことを伝え、各部門の成功事例を発表してリーダーを称賛し、別の部署にも展開したそうです。
その後、就業規則を本格的に改善し、全社統一的な生産管理システムも導入して、各部門の作業負荷の平準化に取り組み、成功体験を積み上げました。
藤井社長は、「他の工程の作業も覚えて進められるよう社員全員が心がけることで、多能工化(マルチタスク)を促進させることができた」と改革の効果を語ります。
リーマンショック、コロナ禍という二度の逆境に立たされ、一時は売上を落としながらも、逆境をチャンスとして回復し、現在では16億円規模にまで成長した同社。休日増加と、それに伴う改革で生産性向上を達成した取り組みは、学ぶところが大いにありそうです。
スイートルームや個室を完備した紹介制のゴルフ場が千葉県に4月オープン! 3000万円超の会員権は残り100枠
一般には情報が秘匿された、最先端のゴルフ複合型施設が2023年4月29日にオープンしました。その名は「ザ セイントナイン 東京」。この完全紹介制のラグジュアリーなカントリークラブの魅力に迫ります。
超ラグジュアリーなゴルフ複合型施設の全貌
場所は都心から車で約50分、千葉県市原市の某有名ゴルフ場の跡地。のどかな風景の中を進むと、スタイリッシュかつアーティスティックな建物が現れます。これが、「ザ セイントナイン 東京」のクラブハウス。マスメディア、公式サイトやSNSからの情報発信もまったくなく、問い合わせ先すら公開されていません。
広大な敷地に対し、18ホールの戦略性の高いコースが新設されました。設計を手がけたのは、国内外の有名ゴルフ場を多数手がけ、高い評価を得ている佐藤謙太郎氏です。
「ゴルフコースは雄大で美しく、かつ戦略的であるべきである」という設計理念の通り、この場所でプレーする愉悦と感動を存分に味わえる場となっています。300ヤード超のドライビングレンジや本格的なアプローチ練習場も完備され、ゴルファーによって多彩な使い方が楽しめます。
グリーンの美しさと魅力はもちろんのこと、「ザ セイントナイン 東京」の今までにない魅力は、ラグジュアリーホテルのような個室や設備を備え、滞在型の優雅なゴルフスタイルが国内で満喫できること。
プライベートルームは、456㎡のペントハウス、101㎡のパノラマスイート、57㎡のスイートルームが16室と、全18室が並びます。
エントリーや決済、チェックイン・アウトはスマートフォンでスムーズに。個室には、シャワーやトイレ、キッチンまで完備され、ホテルとは違った滞在型のプライベートルームとして自由に利用できます。
4組16名までの利用ができるVVIP(超重要人物用)ルームでは、ダイニング、バーカウンター、テラス、ジャグジーもあり、ゴルフの後にお気に入りのシェフやバーテンダーを呼んでパーティを楽しむのも一興です。
リラックスできるレストラン、ギャラリー、サウナも併設
さらにクラブハウス内には、美食家でレストランオーナーの来栖けい氏が全面プロデュースを手がけたレストランがあり、メンバー専用のワインケーブも併設。バーベキューも楽しめる広大なテラススペースも心地よい空間を演出しています。
他にも、新進気鋭のアーティストの作品が展示されるギャラリーや、最新のフィンランド式サウナなども充実しており、ゴルフや心身の疲れを心ゆくまで癒やせるでしょう。
クラブハウスのアプローチには係員が車を入出庫する「バレーパーキング」も用意されるほか、都心からの「ラグジュアリーカー」による送迎も予定。クラブハウス内のスタッフやキャディーは一流ホテルや航空会社の経験者。一流のホスピタリティでもてなします。
さらに隠し部屋が用意されるなど、さまざまなしかけや計画が進行中とのこと。
会員は限定450名の完全紹介制。会員権は21年12月に1500万円超だったものが、現時点では3000万円超に。すでに著名人や経営者が300名集まっているそうで、今後さらなる取引価格の上昇が予想されます。
4月上旬には会員権の残りが100枠だったとのこと。ご関心をお持ちの方は、ゴルフ仲間に会員がいないか尋ねてみてはいかがでしょうか。
“大谷翔平効果”で33万円の「かぶと」に注文殺到!本塁打パフォーマンス受けて注目集まる
“二刀流”で活躍する米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手。今度はなんと「薩摩隼人の兜(かぶと)」をかぶって、チームメイトとハイタッチする映像が世界中に流れて話題をさらっています。
高価な伝統工芸品に世界中から注文が
本塁打を打った選手に対するセレブレーションは米大リーグ観戦の見どころのひとつです。
バイキングのヘルメットやパイレーツの剣など、チームごとに個性がありますが、エンゼルスは昨季のカウボーイハットから今季は兜を採用。大谷選手にちなんだ日本仕様の兜パフォーマンスは全米で反響を呼びました。
この兜の名は「紺糸威仏二枚胴(こんいとおどしほとけにまいどう)」で、鹿児島県にある甲冑工房丸武産業が製作したものです。
重さは約2キロで、税込価格33万円。高価な伝統工芸品にもかかわらず、「同じものが欲しい!」と国内外から注文が殺到。同社では「改めて大谷選手の人気の高さを実感している」と嬉しい悲鳴があがっています。
1958年の設立当初は釣り竿メーカーでしたが、初代社長の田ノ上忍氏の趣味が高じて甲冑や兜の製造に転換。50年の伝統と経験で培われた製品は評価が高く、NHK大河ドラマを始め、TVや映画の時代劇、祭、端午の節句、ゲームキャラクターの衣装などに貸出しを行っています。
本社屋は時代劇のセットさながらの建物で、無料で見学できる工房や武将展示館、お土産館があるほか、着付け体験もできる総合テーマパークとして「知る人ぞ知る」場所なのです。
関連グッズの商品展開も
熟練の職人技で、細部に至るまで本物を忠実に再現した甲冑は、『鹿児島県伝統工芸指定』も受け、同社がある薩摩川内市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
日本の伝統美を継承する一方で、現代でも使いやすい「現代甲冑」として工夫も随所に施され、同社のYouTubeでは、鎧兜を着けた人がバスケットボールを軽やかにプレイする動画もアップされています。
以前は特定の業界や一部愛好家からの発注がほとんどでしたが、今回の「大谷効果」で一躍有名に。「兜をかぶって野球観戦をしたい」というニーズもあり、今まであまり注目されていなかった「兜型キャップ帽」や関連グッズの注文も増え、サイトのアクセス数も数十倍に跳ね上がっているとか。
ところが、ある日ちょっとしたハプニングが。大谷選手より1日早く本塁打を打ったレンヒーフォ選手が兜をかぶったところ、鍬形(くわがた:兜の前びさしの上に2本出ているツノ)がポロリと落ちてしまったのです。
ネット上では一部、批判の声もあがったようですが、同社の担当者によると「鍬形は本来、矢や木が当たった時に衝撃を逃すように取り外しできる構造になっているので大丈夫。メンテナンスやアフターサービスもしっかりやります」とのこと。
この兜、今後もエンゼルスの転戦とともに全米各地を移動するので、話題はさらに広がりそう。まさに大谷選手のサムライ魂を象徴するような日本の伝統工芸品の美を、世界に見せつけてほしいものです。